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瑞樹は、驚くほか無かった。
「……? なに?」
「き、き、君……い、いったい……?」
あまりにも驚愕だったため、言葉が繋がらない瑞樹。
しかし少女は、また怪訝な表情をするだけだった。
「もう……泣き止んだ?」
「え……い、いや……」
彼女は、まるで幼児のようだ。
純粋な気持ちで訊いているのが、初対面の瑞樹にも容易にわかった。
「……どうしたの?」
「あ、あの、その……き、君は、い、いったい、だ、誰……?」
瑞樹は、怖がっていた。
彼女の姿が、あまりにも次元を通り越しているから。
「……わたし? わたしは、わたし」
「え、えっと……その……そ、そうじゃ、なくて……」
「……名前?」
瑞樹は、小さくうなずく。
「……ティア」
「えっ……?」
「名前……ティア」
名前もやはり、現実から遠い。
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