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「……どうして、泣いてたの?」
「そ、それは……」
見ず知らずの女の子に、自分はイジメられて泣いていたなんて言えない。
瑞樹は、口籠ってしまった。
「……」
ジッと見つめてくるティア。
「……う、ううん、気に……しないで」
「……そう」
実に素っ気ない返事だ。
「……ね、ねぇ」
「……なに?」
「き、君は……何なの……?」
「……ティア」
「あ……そ、そう……だよね」
「……?」
瑞樹は、ティアに名前を訊いたわけではないのだが、彼女の解釈は甘かった。
「……や、やっぱり、なんでもない……」
「……わたしは、天使」
「えっ……?」
瑞樹は諦めたつもりだったのに、ティアは、突然言い放った。
「そう……わたしは、天使。隠す必要は……無い」
「て、天使……!?」
驚きはしたが、瑞樹は、心の中では納得していた。
当然だ。
ここまで人間離れした外見や、彼女の背に背負われているものが、それを語っている。
そして何より、瑞樹は先ほど、その真偽を訊きたかったのだから。
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