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「うくっ……ぐすっ……」
夕陽が、いまに沈もうとしている茜の空。
瑞樹は、静寂の公園の中で泣いていた。
「もう……いやだっ……」
何もできない自分が、憎い。
イジメッ子のように、堂々とできない。
瑞樹は、自分を責め続けるばかりだった。
「……なぜ、あなたはいつも泣いているの?」
「……君、か……」
聞き覚えのあるクリアな声が、瑞樹の耳に響いた。
「……君には、関係無いよ」
「……なぜ?」
「関係無いでしょ。……君、人間じゃないじゃん」
「……それが、どうして?」
「うるさいなあ! 人間じゃない君に人間の気持ちはわからないでしょ!? ……もう、放っといてよ」
ただ訊いていただけの少女に怒鳴ってしまったことに、瑞樹は後悔を覚えた。
瑞樹は、顔をうずめた。
「……ツラい?」
「……」
しかし彼女は、平然と次の質問をしてきた。
彼女に、恐怖は無いのか。
「……苦しい?」
「……」
どれだけティアが訊いても、瑞樹は答えようとしない。
「……そう」
諦めたのか、少女は口を閉ざした。
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