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「いや、あの、これは一体、どういう展開なんだ?」
「以前飲んだ時は、大して美味しく感じなかったのですが、不思議と飲みたくなったので貴方と飲もうかと」
「…………つまり、酒飲みに来ただけ?」
「はい」
気が抜けた。合い鍵まで作られ、逃げ場のない部屋に追い詰められたと思ったのに。
殺しに来たんじゃないのか。そうだ、草野の様子はおかしかったが、酒のおかげで俺達を襲ったことは記憶していなかったじゃないか。
思い出したのかと思っていたのは、俺のはやとちりだったらしい。
草野は買ってきたビールや日本酒、つまみを適当に床に並べる。
しかし篠原が言った通り、草野達は俺らの住所をしっかり確認しているのがはっきりと分かった。
草野は迷わずここにきて、勝手に合い鍵まで作っているからな。
俺は壁に立てかけていた、足を折り畳んだ小さな黒いテーブルを手にとり、足を開いて部屋の真ん中に置く。
「お酒とかは、この上に置いて」
「はい。どうぞ」
差し出されたビールを受け取り、恐る恐る開けた。草野もビールを開ける。
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