四日目

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 自分から言い出した癖に。そう思いつつも、俺はそれを胸の奥へ乱暴に押しやった。 「荷物も持たない点は、不審でならなかった。そして今、所持品はこの紙一枚ときた。どう考えても普通じゃない」 「まあ、常人の感性からしたら有り得ないですね」 「そして君の言っていた、彼女の異常行動。以上の点だけでも、明らかに彼女は怪しい」  二人で謎めいた草野の話をしていると、突然草野が立ち上がった。  さすがの篠原も驚いたらしく、俺を盾に後ろに下がる。 「うう……花崎さんに篠原さん。本日はお勤めごくろーさまでした。私、帰らせていたらきます」  軽くしゃっくりをしながら、草野はふらつく足で帰宅への道を辿っていく。 「好機だ」 「何がです?」 「彼女の秘密を暴けるかもしれん。追うぞ!」 「篠原さん、俺の背後にいる時点で、格好付かないですよ」 「くくっ、いいんだよ。普段からして格好良いのだから」  そう言って篠原は意気揚々と草野の後を追う。  今のが冗談なのか、それとも本気だったのか分からなかったが、とりあえず俺も草野を尾行することにした。
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