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「失礼ね、順平君たら」
「いやいや、皆川さん見たら誰だって最初ビビるって」
「花崎さん、どうぞお座りになって下さい。意外と皆、話しやすい方々ですよ。あっ私名倉です」
もやしみたいなひょろいこの方は、名倉さんか。分厚い眼鏡を掛けてること……。
名倉の隣に座り、幸薄そうな、暗い印象の男に視線を移す。
「……あぁ。僕は篠原。下の名前は言わなくていいだろう?」
「はあ、よろしくお願いします」
篠原は亡霊のような雰囲気がある。目の下にうっすらクマがあるからそれがまた、不気味でならない。
というか、こいつだけ取っ付きにくい感じだな。近寄るな、話し掛けるなって空気を醸し出しているぞ。
「そういえば、皆さんはいつから勤務なさってるんですか?」
「いや、実は俺達、皆初めてなんスよ」
「びっくりよね!」
「ちょうど、花崎さんが来る前は、前の人達はどうしたのかって話をしてたんですよ」
「そうなんですか」
おいおい、経験者いないのかよ。仕事になるのかこれ?
「樋口さんは前からいる方みたいですから、多分我々全員、樋口さんに仕事を教わると思うんです」
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