五日目 夜

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 あれは何だ。重量があるようだし、多分俺を始末するための鈍器だろう。  俺の人生はここで終わるのか?  草野が俺の目の前に立った。逃げ場のない、神の慈悲がない状況が生まれる。 「お、俺をどうする気だ。お前らの仲間にはならないぞ!?」  草野は感情の篭らない目で、俺を凝視する。そして目を見開くと、袋を持つ手を動かした。 「うわあああ!?」  殺されてたまるか。こんな所で死にたくない!  草野を押そうと手を突き出すが、逆に腕を掴まれ壁に押し付けられた。抵抗する俺に対し、草野の顔が俺の顔の間近に迫る。 「何を慌てているのですか」 「は、離せ! お前の目的は分かってるんだぞ!」 「……それなら話が早いですね」  草野が微笑みを浮かべ、手に持つ袋を俺の右側頭部に付けた。  ひんやりとした何か硬いものが当たる。鉄か何かかと思ったが、耳に水が揺れるような音が届き、俺は思わず眉を寄せる。 「み、水……?」 「飲みましょう。朝まで徹底的に」 「は?」  草野が袋から取り出したものは、冷えた缶。金色の文字で、ビールと書いてあった。
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