五日目 夜

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 各々飲み始める。草野は無表情で飲み続け、あっという間に頬が紅潮した。  酒に弱いな。また暴走しなければ良いんだが。 「花崎さんは、篠原さんと仲が良いですよね」 「ああ、まあ仕事仲間が彼しかいなくなってしまったから、必然的に話すようになりまして」 「私とも仲良くしてください」 「え、ええ。もちろん」  愛想笑いを浮かべ落ち着いているように見せつつ、俺の心が怯えていることに変わりなかった。  草野は何がしたいんだ。予想出来ないし、今この時さえどうすれば良いのか分からないぞ。  突然何をされるか分からない。それが怖くて仕方がなかった。 「そ、そうだ。篠原さんも呼びませんか? 三人で飲んだ方が楽しいですよ」 「……いえ、私は花崎さんと飲みたいのです」  酒の入った女には、魔性の魅力が宿るらしい。潤んだ目に見つめられ、俺は頷いてしまった。  念を推しておけばよかったものを、自分から救世主を自然に呼べる好機を捨ててしまうとは、不覚だ。  ビールを飲みはするが、全く酔わないのは緊張しているせいだろう。反対に草野はぐいぐいと飲んでいく。
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