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「で、皆川。お前は四番シールの前な。猪上がやったのが来たら、ベルトコンベアの下に入った、このダンボールの中にある楕円の固まりを、棒の先端が細い方に付けろ」
「頑張りま~す」
やたらとハイテンションな皆川。樋口さんがいい男だからだろうな。
「で、最後に名倉。お前は五番シール前。ベルトコンベアの下にある段ボールに、湾曲した塩ビ管みたいのがあるから、これを皆川と反対の太い方に付けろ」
「わかりました」
「俺は名倉の後にある銀の機械向こうで、お前らが組み立てたやつの最終調整をする。何かあったら、それぞれシール脇にある赤いボタン押してくれ。そうすりゃベルトコンベア止まるから」
樋口さんの大声に、俺達は全員で返事をする。
そして仕事が始まった。単純な作業だ。片方に曲がる棒が、俺の前に来る。俺は赤いのを被せて、猪上に流す。
これの繰り返しだ。物が流れる速度は遅く、暇な時間の方が長い。
これはこれで退屈で、少し苦痛ではあるが、日給のことを考えるとそんなのは本当に些細な苦痛に感じた。
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