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名倉さんの横に座る。
「どうしたんです? 嬉しくないんですか?」
「えっ、いやいや、嬉しいです。嬉しいんですけどね……」
ぎこちない笑顔を浮かべたり、暗く沈んだ表情になったりと、何か様子が変だ。
「仕事中、何かあったんですか?」
「あの、別に大したことじゃないんです。ただ気になって……。あの、私達、何を組み立ててるんでしょう?」
何をってそりゃあ……。なんだろう。
「そういやそうですね。何なんでしょうね?」
すると、皆川や猪上、篠原までもが会話に入ってきた。
「何二人で話してるのよ?」
「いや、俺達って何を造ってるんだろうなって」
「あっ! それ俺も気になってたんスよ。マジ謎ッスよね」
「…………腕だよ」
その不気味な一言に、言った篠原以外が固まった。
「間接のある棒に、赤い皮、白っぽい皮、楕円の物体、湾曲した筒状の物体。さて、何だか腕みたいじゃないか? 後は指があれば……」
「そうなんです。私も腕に見えて仕方がないんです!」
「成る程ねえ。マネキン工場なのかしら」
「くくくっ。そうだろうな」
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