二日目

2/11
12265人が本棚に入れています
本棚に追加
/166ページ
 篠原を除き、俺を含めてバイト仲間はどよめいた。たった一日で来なくなったのだから、当然の反応であると感じる。  ベルトコンベアの前に並ぶ。全員を見ながら、樋口さんが額を掻いた。 「連絡もつかない。これは……バックレたな」 「名倉さんたら、そんな人には見えなかったけど」 「なんかやたら暗い顔してたけどサ、マジないわー」 「くくくっ」  名倉さん、どうして……。そんなに悩んでいたのか?  俺達は気分を沈ませながらも、昨日と同じ組み立て作業を開始する。樋口さんが名倉さんの分もやってくれたおかげで、作業効率は昨日と変わらなかった。  十二時から一時まで、昼の休憩時間が入る。  各々の時間を過ごしていたが、俺がロッカールームのベンチに腰掛けて昼飯の弁当を食べていると、顔を青くした皆川と猪上が異様に静かに入室してきた。 「なんだ、どうかしたんですか?」 「へぇっ!? あ、いやいや、何でもないわよ!」 「そうッスよ。いやマジで何もねぇーし!」  怪しい。凄まじい怪しさだ。  二人は挙動不審にロッカールームをうろついていたが、仕事時間になると顔を余計に青くしながら、素早く仕事に入った。
/166ページ

最初のコメントを投稿しよう!