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篠原を除き、俺を含めてバイト仲間はどよめいた。たった一日で来なくなったのだから、当然の反応であると感じる。
ベルトコンベアの前に並ぶ。全員を見ながら、樋口さんが額を掻いた。
「連絡もつかない。これは……バックレたな」
「名倉さんたら、そんな人には見えなかったけど」
「なんかやたら暗い顔してたけどサ、マジないわー」
「くくくっ」
名倉さん、どうして……。そんなに悩んでいたのか?
俺達は気分を沈ませながらも、昨日と同じ組み立て作業を開始する。樋口さんが名倉さんの分もやってくれたおかげで、作業効率は昨日と変わらなかった。
十二時から一時まで、昼の休憩時間が入る。
各々の時間を過ごしていたが、俺がロッカールームのベンチに腰掛けて昼飯の弁当を食べていると、顔を青くした皆川と猪上が異様に静かに入室してきた。
「なんだ、どうかしたんですか?」
「へぇっ!? あ、いやいや、何でもないわよ!」
「そうッスよ。いやマジで何もねぇーし!」
怪しい。凄まじい怪しさだ。
二人は挙動不審にロッカールームをうろついていたが、仕事時間になると顔を余計に青くしながら、素早く仕事に入った。
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