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その日の仕事が終わり、金を貰ってからロッカールームに戻る。
すると皆川と猪上に話があると言われて、着替えてベンチに座り込んだ。
「何ですか?」
「猪上君、ドアちゃんと閉まってる?」
「大丈夫ッス」
篠原もまた、足を組んでベンチに腰掛ける。
「僕にも話とはね。手早く頼むよ」
「俺達、休憩時間にトイレに行ったんス。したらさ、その途中で名倉さんを見たんスよ」
「名倉さんって……。えっ、工場の中で?」
「そうなのよ! 何か別のベルトコンベアの前にいたのよ。変だと思わない?」
「くくっ、興味深いな。樋口は連絡もつかないと言っていたのに、工場内にいたっていうのはどういう訳だ?」
おかしな話だ。別の所属に変更してもらったにしても、樋口さんに連絡がいってないなんて変だ。
「……樋口は知っていたんじゃないか?」
「あら、樋口さんを疑うワケ?」
「ああ。実は樋口は名倉のことを知っていたが、僕達の前では嘘をついた。それから導き出される答えは、僕らに名倉の行方を知られると都合が悪いことがあるということだ」
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