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「それって、何スか?」
篠原は溜め息を吐いた。
「生憎、僕は超能力者じゃないのでね。さすがにそこまではわからない」
「うーん、樋口さんに直接聞くわけにもいかないしな」
何だか、二日目にして雲行きが怪しくなってきたぞ。……しかし、謎ばかりが増えていくな。
「今の時間に、名倉さんを捜してみませんか?」
「くくくっ。僕は遠慮するよ。多分、無駄な労力を使うことになる」
頭にきた。苛立つ物言いをするなまったく。協力してくれてもいいじゃないか。
「あたしは行ってもいいわよ」
「俺も行くッス」
篠原を残し、工場内を歩く。
たくさんのベルトコンベアや、巨大な機械があるが、一向に組み立てた物は見当たらない。それどころか、他に所属しているはずの人達の影も形もない。
「誰もいませんね」
「おかしいわねえ」
「何かミステリー臭半端ねえッス」
うろついていると、樋口さんに見つかり、声をかけられた。
「何してる?」
「あっ樋口さん。いや、他の人達いないなって……」
「各々のロッカールームで休んでいるか、帰宅したかのどちらかだろう。あまり用もなくうろつくな」
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