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「お前! 何者だ? 従業員か? どこの所属だ?」
まくし立てるおっさんにやや困惑したが、ここで働いてる人物であることはすぐに分かった。
「あの! 今日の十二時に面接させていただくことになってる、花崎と申します」
「花崎!? 花……なに面接? ああ、面接!? そうか、そうか。ああ、いやいや、すいません。仕事に集中すると、どうにもね。ははははは!」
さっきまで怒っていたのが嘘のように、おっさんは笑顔になった。
「私、ここの工場長の山村一真です」
「工場長さんでしたか。改めて、花崎吉平と申します」
工場長に案内されて、事務室らしい所に入った。
人が三人入れるか入れないかというくらい狭い。
部屋に唯一ある机の上は何かの資料やファイルでごちゃごちゃとしており、汚らしいのが第一印象だ。
二つある内の、黒い椅子に座るように言われたため、そこに腰掛ける。
そして工場長自らお茶を煎れて、汚い机の上の資料を適当によせて出してくれた。
「いやいやいや、花崎君。まずさっきのこと、すまないね」
「いえ……」
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