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「よし、いつから来れますか」
「え? あ、はい。いつでも大丈夫です」
「いい返事! じゃあ明日から頼むよ」
「あの、面接は?」
「いやいや、君人柄良さそうだしね。人手も欲しいから、即採用さ」
工場長が馬鹿笑いするので、とりあえず俺も笑っておいた。
何かあっさりだな。
「仕事は朝の九時から夕方五時まで! 君の所属は……」
ガサガサと机の上をあさり、赤いファイルを掴むと、睨むように見つめる。
「うーん。君は゛右゛で」
「右ですか」
「右だね」
一瞬何だかわからなかったが、俺の所属先が右とやらだと理解した。
「その所属名の通り、工場入って右に進めば場所わかるから」
「はい」
とんとん拍子で話はまとまり、俺は帰宅した。
やれやれ、なんか一癖ある工場長だが、いい人っぽいし安心だ。
明日から、頑張るぞ!
次の日、初勤務日。
工場に入ると、ひたすらにベルトコンベアが並び、その合間に銀色の大きな機械が入る。その光景を眺めつつ右へ進むと、所属上半分、下半分などアバウトな所属名が書かれた立て札が立っていた。
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