組み立て開始

8/16
前へ
/166ページ
次へ
 右という立て札を見つけると、白い繋ぎを着た男性がベルトコンベアの前にいたので、話し掛けてみる。 「すいません」 「あん? 誰だ? 新入りか?」 「はい。花崎吉平と申します」 「ああ、山村さんから聞いてるよ。樋口だ。よろしく」  右手を出してきた樋口という男は、がっしりとした巨躯に、短い顎髭を生やしたゴツい男だ。  俺も手を差し出し、握手する。 「そのまま奥行ってくれ。休憩所兼ロッカールームがあるんだ。そこにお前のネームプレートが入ってるロッカーがあるはずだから、そこに荷物とか入れてくれ。ああ、繋ぎも入ってっから、ちゃんと着替えてこいよ」 「はい!」  見た目はおっかないが、樋口さんはいい人っぽい。  ベルトコンベアを横に、奥へ進むと、゛右゛休憩所と書かれた表札の入った部屋を見つけ、中に入る。 「失礼します」  入口からすぐにベンチが三つあり、灰皿を囲むように配置されている。  さらに人一人通れるくらいの感覚を開けて、ベンチを囲むようにロッカーが並んでいた。
/166ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12265人が本棚に入れています
本棚に追加