14人が本棚に入れています
本棚に追加
恋した相手。中原俊。同じく小学六年。
カッコ良く、頭も良く、スポーツも万能。頼りがいあるし面白い。いわゆる『完璧』な人だ。
嫌う人も、いたけど…。
でも、あたしは大好きだった。
調子が乗らない日も、俊の顔を見たら、元気が出た。
あたしは、ある人の力で、俊をいつめんにした。
アピールもいっぱいした。
でも、俊には彼女がいた。
『彼女の名前、教えて??』
そうせがんで、教えてもらった。
それに
『まぁ、向こうが彼女気取りしてるだけだから。』
と言われた。
でも、納得行かなかった。
`なんで??じゃあなんで彼女って言うの??気取ってるだけなら、俊は認めてないんだよね??´
そんなの…単なる嘘じゃん…言い訳じゃん…。
一気に涙がでた。あふれた涙は止まることを知らず、大好きの人の前で、泣き続けた。
次の日から、俊とあまり顔を合わせなくなった。
違う。合わせられなかったんだ。
俊は頭がいい。きっと、昨日の涙で俊はあたしが俊に好意を持っていると、分かってしまったはずだ。
一方、俊も俊で、今まで当たり前の様に話しかけてきたあたしが、冷たくて、戸惑ったそうだ。
これは、あたしと俊が離れてから知ったこと。
当時のあたしは知る由もなかった。
あたしが俊を避け始めて、一週間が経った。
相変わらずぎくしゃくした。顔を見れなかった。
でも、さすがに限界だった。精神がおかしくなりそうだった。
でも、今更話すなんて勇気はなかった。
情けない自分に、また涙がでた。
四月後半。
四月前半に俊と同じ委員会に入ったあたしは、月に一度開かれる委員会に参加した。出たくなかったけど、大切な打ち合わせがあったから、仕方なかった。
あたしが教室に入ってすぐに俊が来た。俊はあたしを見つめながら、あたしの隣に腰を下ろした。
沈黙が続いた。でも、その沈黙はすぐに互いが切り裂いた。
『『あ、あのさ…。』』
もう後戻りはできなかった。
情けない自分を変える、今をチャンスにした。
『何??』
先に口を開いたのは、俊だった。
『いや、そっちからでいいよ。』
あたしは考えるより先にその言葉を発した。
次に耳に入ってきた言葉は、俊が言ったとは思えなかった。
いつもなら、『お前から言え。』そう言う俊が。
強制的にあたしからにする俊が。
『分かった。じゃあ、真面目に聞いて。』
こう言ったのだ。心臓は高い鼓動のまま。静まることを知らないのか。緊張で死にそうだった。
最初のコメントを投稿しよう!