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またしばらく沈黙が続いた。
しかしそれは束の間。すぐに俊が口を開いた。
『なぁ、なんで最近避けるんだよ??』
単刀直入にそう言われた。答えに戸惑った。
まさか、`俊に彼女がいるから´なんて、言えない。
『え、なんでって…。』
あたしは口を閉ざした。言えなかった。これじゃあ、一種の告白だ。そんなこと、今は出来ない。人が多すぎる。
もう、どうすればいいのか分からない。
適当に答えを言おうとしたけど、思考回路は停止している。
しかも、あたしは俊の様に頭は良くない。
だから、そこで、
『なんで、俊はあたしが避けてることを気にするの??彼女いるんだし、あたしなんて、どうでもよくない??』
と、逆に質問をしてみた。
さすがに戸惑うだろうと思ったが、俊は迷わず口を開いた。
『どうでも言い訳ないだろ??』
`え…??なんで??変に期待する…。´
とっさに口にした。
『嘘だ!』
あたしはなんてバカなんだろう。嬉しいはずなのに、素直になれない。続けざまにこう言う。
『そんなんじゃ浮気じゃん!あたしはあんたの不倫相手になるわけ??そんなのあたしは嫌だよ??』
あたしの頬を、一筋の涙が伝う。
`また泣いてるよ、あたし。どんだけ涙腺脆いのよ…。´
そう思って、人目を気にせず泣いた。
すると、俊は優しく微笑んでこう言った。
『またオレに、お前の笑顔見せてよ。お前がオレに話しかけてくれないと、気分上がらなくてさ。オレ、お前に惚れてるみたいだ…(^^)』
その瞬間、あたしの思考回路は今までにないくらい動いた。
`え…??いいの??近くにいて、そばにいていいの??´
嬉しかった。
気付いたら、周りからの注目を浴びていて、またすぐに思考回路は停止した。
四月二十七日。
この日は、あたしの初恋が実った日。
現実の過酷さを知らない、まだ汚れのないあたしが、汚れのないまま俊の告白を受け入れた日。
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