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六月。
親友に相談して、悩みに悩んだ五月。
そしてあたしは、俊を諦めることを決意する。
`楽になりたい…。´
あたしが思うことは、ただそれだけだった。
挫折なんだとは思う。でも、あたしがあたしじゃなくなる前に、俊を諦めよう。そう決意した。
六月四日。
あたしを変える出来事が起こる。
その日は、梅雨の時期には珍しい晴天だった。
そんな眩しすぎる空を、親友とただただ見つめていた。
すると、誰かに背中を叩かれた。普通、いきなり叩かれたら誰だって怒るはずだ。もちろんあたしも。
でも、今回は、違った。
俊は、あたしに話しかけようとすると、決まって背中を、ある一定のリズムで強く叩く。
まさに今、今回がそうなのだ。
思考回路は、また停止した。
動揺している自分を抑えて、あたしは後ろを向いた。
案の定、そこには俊が立っていた。
『ちょっと来て。』
そう言われて、強引に手を引かれ、親友から離れた。
教室のドアの横。そこで俊はあたしの手を離した。
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