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「うぅっ…」
あれから数刻、流夜は不意に目を覚ました。一先ず流夜は起き上がり、周りを観察することにする。
起き上がる前から流夜は分かっていたが、そこは森、じめっとした森が広がっていた。
「……此処は何処だ?」
森のさらに奥に何かを見つけようとも一寸先は闇、そう例えられるほどに木々が重ね重ね生い茂り、周りは全く見えない。
「……ん、そう言えば――」
――さっきのトラックは大丈夫なのか?
自分よりも、他者を優先してしまうのがずっと昔、父を失った前からの流夜の性分なのか、今、この不思議な現状に立ち会っても他を心配し、のんびりしていた。
何はともあれ、今の現状、自らがどうなってしまったのか、此処は何処なのか、流夜には全くそんな事はわからない。
――ドスン、
不意に、控えめだが確かに短い地鳴りの音がした。
――ドスン、ドスン、
地鳴りは再び起き、更には近付いているようだ。
「いや、ま、まさか」
流石にこれはいくら鈍感でも気づく。
――これは人の足音じゃない!
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