壱章 「驚愕の幕開け」

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「うぅっ…」  あれから数刻、流夜は不意に目を覚ました。一先ず流夜は起き上がり、周りを観察することにする。  起き上がる前から流夜は分かっていたが、そこは森、じめっとした森が広がっていた。 「……此処は何処だ?」  森のさらに奥に何かを見つけようとも一寸先は闇、そう例えられるほどに木々が重ね重ね生い茂り、周りは全く見えない。 「……ん、そう言えば――」  ――さっきのトラックは大丈夫なのか?  自分よりも、他者を優先してしまうのがずっと昔、父を失った前からの流夜の性分なのか、今、この不思議な現状に立ち会っても他を心配し、のんびりしていた。  何はともあれ、今の現状、自らがどうなってしまったのか、此処は何処なのか、流夜には全くそんな事はわからない。  ――ドスン、  不意に、控えめだが確かに短い地鳴りの音がした。  ――ドスン、ドスン、  地鳴りは再び起き、更には近付いているようだ。 「いや、ま、まさか」  流石にこれはいくら鈍感でも気づく。  ――これは人の足音じゃない!
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