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「……ッ!レン!ねぇ、レンってば!!」
「……ん…」
誰かに呼ばれて目を開けた。
顔をあげると、そこには自分とそっくりな顔があった。
「もうっ、こんなところでねないでよ!」
彼女に言われて、初めて自分が草原で眠っていたことに気付いた。
「おかあさんがしんぱいしてたよ?」
「…ごめんね、リン」
こんな風にリンに怒られることは結構あったりする。
大切な、誰よりも大切な、僕の双子の姉。
「レン、はやくかえるよ?」
「あっ、まってよリン」
慌てて立ち上がり、リンの後を追う。
でも、いくら歩いても追い付かず、距離が遠くなるばかり。
「まって!いかないでよ、ねぇっ!!」
僕の声が聞こえないのか、リンはそのまま歩き続ける。
…ふいに、彼女の足が止まった。
ゆっくりとこちらに振り向く。
儚く微笑んだその瞳からは、透明な涙が溢れていた――
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