不倫のハードルは低くて高い

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トボトボと駅にむかって歩いていた。 いい歳して、人目もはばからず泣いて、化粧も剥げ落ちて酷いことになっていると思う。 早く家に帰りたい。 「木村!!」 チーフが追い掛けてきてくれた。そう思った。 声のする方向をみた。 「あっ…。」 若林君だった。 「どうした?何かあったのか?」 息を切らしながら私の顔を覗きこんでいる。 「えっ…あっ…。若林君は?」 「まだ会社にいるか気になって、メシ食ってから戻ってきた。」 若林君はネクタイを緩め息を整えていた。 「わき腹いてー。運動してないときっついわ~。」 「ふふっ…。」 「なっ…お前笑うなよ。心配して来てやったのに。」 「ごめん。ごめん。」
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