81人が本棚に入れています
本棚に追加
/297ページ
トボトボと駅にむかって歩いていた。
いい歳して、人目もはばからず泣いて、化粧も剥げ落ちて酷いことになっていると思う。
早く家に帰りたい。
「木村!!」
チーフが追い掛けてきてくれた。そう思った。
声のする方向をみた。
「あっ…。」
若林君だった。
「どうした?何かあったのか?」
息を切らしながら私の顔を覗きこんでいる。
「えっ…あっ…。若林君は?」
「まだ会社にいるか気になって、メシ食ってから戻ってきた。」
若林君はネクタイを緩め息を整えていた。
「わき腹いてー。運動してないときっついわ~。」
「ふふっ…。」
「なっ…お前笑うなよ。心配して来てやったのに。」
「ごめん。ごめん。」
最初のコメントを投稿しよう!