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彼は来るなり私を抱き締めた。
「今日は約束やぶってごめんな。帰りぎわに部長につかまってさ～。」
「…。」
「なぁ。怒ってる？」
そう言って私にキスをする。
ねぇ。
本当に悪いと思ってる？
メールくらいできたんじゃない？
彼からのキスを受け入れながらいろんなことを思った。
彼からはほのかに甘い香がした。
「…女の子。」
「えっ？」
「女の子もいたの？」
「あぁ。いたよ。何人か。うちのチームみんなで言ったから。」
「そっか。」
「なんで？どうしてそんなこと聞くんだ？」
「女の子と歩いてるの見かけたから…。」
「……。あー。ちょうどその時悩み聞いてあげてたかも。彼氏とうまくいかないって話してたから。」
「…そっか。」
2人で笑っていたじゃない…。
ウソつき。
ウソつき。
「なに？お前ヤキモチ？俺にはお前しかいないって。心配するなよ。」
…いつものウソ。
わかっている。
でも…。
彼と別れるほうが辛い…。
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