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忌々しいほどに残業だった。
誰もいなくなったオフィス。きっと直(じき)に警備員から、安全上の理由だとか諭されてこの暖房の効いた室内から閉め出されることになるだろう。そうなれば残りは家に持ち帰り。寒空の下に放り出され、パソコンとにらめっこするため帰路に着く自分が目に見えて、笑えてくる。
「はぁ……」
今ある疲れと先にある疲れを思い溢したため息が消えるより先、服のポケットで携帯が振動した。
──メール。上司が労いの言葉の一つでも送ってくれたのだろうか? 部下を怒鳴り散らすことを趣味にしているような性格を考えれば端からあるはずもない期待を胸に、私は携帯を開く。
「…………」
忌々しいほどに絵文字だった。
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