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「王子様ったら…お世辞がお上手なんですね。」
クスクス笑いつつ言うと、王子の眉が悲しげに寄せられた。
「本音なんだがね……。レナードと呼んでくれないならこのまま拐って行ってしまうよ?」
「え…!?」
また冗談を、と思うが、真っ赤な瞳は真剣そのものだ。
そこまでして『王子様』と呼ばれたくないのか。
「わかりました、……レナード。」
「敬語なんて他人行儀だな。もう私達は友人だろう?友人には敬語など使わないものだ。」
王子様と、貧乏人の私が友人!?
そんなの、恐れ多すぎて認めるわけにはいかない。
「友人だなんて!私は貧乏な一般市民です。そんな私が王…レナードの友人だなんて、国民に殺されてしまいますよ!」
「私の友人は私が決める。身分や出生など人と人が友人になるのに必要なものか?私は、自らの目で見たものしか信じない。君は優しく美しい人だ。それに賢い。私は君と友人に…そしていずれは…」
いずれは……?
レナードが言葉を区切った時、車が緩やかに停止した。
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