出会い

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「本当に…ここがクロン村…?ニュー・カルフィードの国土なのか?」 混乱に満ちたレナードの声に、ようやく事態を飲み込んだ。 クロン村は、貧しい。 立派なレンガ造りの建物が目立つ街中とは違い、木造の…それも、下手すれば物置にしか見えないような住居で村民が生活しているのだ。 レナードはそれを知らなかったのだろう。 自分の国は美しく、国民全員がそこそこの豊かな暮らしをしていると信じていたのだ。 「…観光用に整った舗装道路。美しく整備された海辺。それは街中にのみ集中しています。クロン村のような小さな村では…そのような予算も与えられず、貧しい暮らしをただ繰り返すしかないのです。」 「……父上は…王は、この現状を知っておられるのか?」 「……分かりません。クロン村という村の存在自体、知らない可能性もありますし。」 私が答えると、レナードは頭を抱え深く息を吐いた。 「街だけが賑わい豊かになっても…なんの意味もない!王は…国を統べる者は国民全てを幸せにする義務があるはずなのに!!」
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