2730人が本棚に入れています
本棚に追加
しかし、レナードは食い入るように私の顔を見つめるだけで、ピクリとも動かない。
……何かおかしな事、言っちゃったかな?
もしかしたら知らない内にめちゃめちゃ失礼な事を言ってしまったのかもしれない。
冷や汗が出る想いでいると、レナードは唐突に私の肩を掴んだ。
「きゃっ」
「…美咲、君は本当に素晴らしいよ。私が今まで出会った事のない素晴らしい女性だ。」
「え?あ、あの……」
信じられないくらい真剣な目で、信じられないくらい誉められ、思わず頬が熱くなる。
「2、3日中にまた来る。その時にはクロン村の経済の立て直し案と美咲への手土産を持参しよう。…今日は君に会えて、私の人生で最良の1日となった。ありがとう、美咲。」
「レナード…」
微笑んだレナードは私の手を取り、その甲に甘いキスを落とした。
ただの挨拶だと分かっているのに胸が高鳴る。
颯爽と黒塗りの車に乗り込み、レナードは去って行った。
触れられた手が熱くて仕方なくて、ぎゅっと握りしめる。
私はしばらくそこから動けなかった。
最初のコメントを投稿しよう!