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「王子様のファン達に突き飛ばされて、転んだんですよ。おまけになけなしのお金で買った芋はこの有り様だ。」
王子は若干目を見開いた後、地面に転がる芋を見て眉間に皺を寄せた。
「すまない…なんて事だ。芋は弁償しよう。」
言いながら王子が床に跪く。
「!?」
何をするのかと驚いていたら、長くキレイな手を伸ばし芋を拾い始めた。
「お、王子様!!私がやりますから…そんな事はなさらないで下さい!!!」
慌てて止めに入ろうと腕を伸ばす。
すると、その私の手を見て王子が息を詰めた。
そのまま腕を掴まれる。
「きゃ…」
「擦りむいているじゃないか!!ああ、よく見れば膝も血が出ている……女性に怪我をさせるだなんて、なんて事だ!!」
自分でも気がつかなかった怪我を指摘され、王子の慌てぶりに呆気に取られる。
このくらいの傷…子供の頃から何度も経験している。
もっと酷い怪我だって。
「あの、大丈夫ですから、う…腕を離して頂けませんか?」
「いいやダメだ!家はどこにある?お詫びに送らせてもらおう。君のご両親にも謝らなければならない。」
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