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ええ!?
そんな大袈裟な……。
確かに悔しかったし少しは痛かったが、王子が直接的に怪我をさせたわけじゃあるまいし。
それに。
お金持ちの傲慢な王子様だと思っていた王子が、膝をついてボロボロのお芋を拾ってくれた。
それだけで充分だ。
「王子様、私なら大丈夫です。これくらい、かすり傷ですから。私には構わずどうか視察を再開なさって下さい。」
正直、王子の後ろから睨み付けてくる主婦達の目も恐い。
出来るだけ丁寧に断ったはずなのに、王子は眉間の皺を濃くしてしまった。
「女性に怪我をさせて、視察どころの騒ぎではない。私を無責任な男にしたくなければ、何も言わず、車に乗って頂けないか。」
半分脅しに近いその言葉に、今度は何も言えなくなってしまう。
困っておろおろしていたら、王子が八百屋のおじさんに話しかけた。
「すまないが、芋を二袋くれないか。」
「王子様!!頂けません!!弁償なんて結構ですから…」
「あと買う予定だったものは?」
「は、え?」
王子は私の言葉を無視し、威圧的に尋ねてくる。
「こ、小麦粉を……」
「買いに行くぞ。」
「え?あ、ちょ…私の話しを…」
強引に私の腕を引き、王子が歩き出した。
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