出会い

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黒塗りの車の中は、私の部屋くらいあるのではないかと思える程に広かった。 対面式になっているカーシートで落ち着かない気持ちで固まっていると、王子がにこやかに聞いてくる。 「住んでいる所はクロン村、と言ったかな?景色が美しい場所だね。君の名前を聞いても?」 「…美咲です。」 「ミサキ…?」 王子が驚いたように声を漏らしたのを聞いて、両手を握り合わせる。 …名前を聞かれる度に嫌な思いをするのには慣れた。 だけど、慣れたからといって胸の痛みがなくなるわけではない。 「日本とニュー・カルフィードの血が流れているようです。」 「ハーフか!!しかも日本との?素晴らしい!!…しかし、「ようです」という表現が気になるんだが。」 曖昧な表現が気になるのは、私だって同じだ。 でも…そうとしか言いようがない。 だって、私は知らないのだ。 見た事もないのだ。 自分の実の両親を……。 「……私は、今の父に、10才の時に拾ってもらったんです。それまでは…町のビルとビルの間で、ダンボールにくるまって寝ていました。」
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