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思えば、意識し始めたのは、きっとこの頃だったんだと思う。
一人でラムネを片手にぼんやりと空を見上げていると、「おー。綺麗だな!たまやー。」と言いながら彼がいつの間にか隣にいた。
「あれ、仕事は?」
「いいじゃん。少しだけ。」
「適当だな(笑)私は真面目な大人になろーっと(笑)」
「え、何それ。俺真面目だけど(笑)」
「十分不真面目でしょ(笑)ラムネ、飲む?」
自分の手から、水滴の滴るガラス瓶が奪い取られた。
「ん、たまにはいいね。ありがとう。」
間接キス。
ああ、間接キスだ。
そう思ったら、胸がうるさくなっていった。
花火よりも、隣に目が行く。
「何?どしたの?」
「え?な、なんでもなーい。」
「何だよ、変なの(笑)」
それから飲んだラムネの味なんてわからなかった。
あの日から、一度もラムネは飲んでない。
勝手に思い出の一つに、瓶の中で転がったビー玉の涼しげな音も残っている。
あの日のラムネは、馬鹿みたいに甘かった。
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