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玄関に入ると靴が三足あった。
いつもより一足たりない。
いないのは靴からして菜月か。
「よぉ」
部屋に入ると三人が振り返った。
「ああ、大翔」
間抜けな返事をしたのは遊馬、軽く手を振ったのが健士、そしてお菓子をくわえながらニコニコしているのが優香。
「菜月は?」
三人は顔を合わせてから、健士が口を開いた。
「まだ部活じゃないかな?」
「まだ??もう九時になるぞ?」
携帯を開いてみた、八時五十分。
「なかなか期待されてるらしいからな」
遊馬は優香の食べていたポテトチップスを一つとった。
「菜月は全国行けるくらいすごいハイジャンパーなんだよ!」
まるで自分のことのように優香は言う。
さすがにこの時間、夜道を一人で歩くには危険だろうな。
それになかなか人通りが少ない。
何となくあの日を思いだした。
「ちょっと迎えに行ってくる、健士チャリ貸してくれ」
「いいよ~」
健士はチャリ鍵をポケットから出し、軽く放り投げた。
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