Episode1

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玄関に入ると靴が三足あった。 いつもより一足たりない。 いないのは靴からして菜月か。 「よぉ」 部屋に入ると三人が振り返った。 「ああ、大翔」 間抜けな返事をしたのは遊馬、軽く手を振ったのが健士、そしてお菓子をくわえながらニコニコしているのが優香。 「菜月は?」 三人は顔を合わせてから、健士が口を開いた。 「まだ部活じゃないかな?」 「まだ??もう九時になるぞ?」 携帯を開いてみた、八時五十分。 「なかなか期待されてるらしいからな」 遊馬は優香の食べていたポテトチップスを一つとった。 「菜月は全国行けるくらいすごいハイジャンパーなんだよ!」 まるで自分のことのように優香は言う。 さすがにこの時間、夜道を一人で歩くには危険だろうな。 それになかなか人通りが少ない。 何となくあの日を思いだした。 「ちょっと迎えに行ってくる、健士チャリ貸してくれ」 「いいよ~」 健士はチャリ鍵をポケットから出し、軽く放り投げた。
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