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私は人影を見ながら、足下に散らばった物を、バッグに詰め込む。
ある程度近づいてきた二人をよく見てみると、早苗と呼ばれた女性は……いや、女性と呼ぶには若すぎる。
私と同い年くらいだ。
年頃の女の子、といった感じだ。
童顔だが、綺麗な顔立ちをしており、中々のスタイルをしている。
一方、神奈子と呼ばれた女性は。
妖艶な眼差しをしており、大人の女性を彷彿させる出で立ちだ。
危うく、その眼差しの虜になってしまうところだった。
「あなた、名前は?」
早苗さんは、私に近づくなり名前を聞いてきた。
「輕部 心結」
馴れ馴れしさに少し圧倒されながらも、素直に答える。
「輕部さん、って言うんだね。私は東風谷 早苗。あの方は八坂 神奈子様です。この湖を拠点としている守矢神社の巫女と神様です。良ければ信仰てください」
「え!? はい?」
ズンズンと詰め寄ってくる早苗に、私はジリジリと後ろに下がる。
突然色々なことを言われ、脳の処理が追い付いていない。
巫女?
神様?
信仰?
一体なんのことだ?
「早苗」
そんな私の心情を読み取ったのか、神奈子さんは咳払いをして、早苗さんの名前を呼ぶ。
その声に我に帰った早苗さんは、私から離れてくれた。
「す、すみません。私ったらつい………」
早苗さんは赤面して俯く。
「いえ………」
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