1.幻想郷へようこそ

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「私達のように、自らの意思……もしくは、何かしらの怪現象に巻き込まれ、この幻想郷に流れ着いたのではないのか?」 「自らの意思……ですか?」 「あぁ。私達は外の世界での信仰を受けることが出来なくなったので、この幻想郷へと神社と湖ごと移動した」 「これまた大規模な引っ越しですね」 「ん?」 「あ、いえいえ……」 思わず皮肉みたいなことが口に出てしまった。 気に障ったのか、神奈子さんの眉がピクリと動いたのが伺えた。 神様は私みたいな人間と比べ物にならないくらい、大変な事情を抱えているのだろう。 確かに、神様が信仰を得られないということは、存在を保てないと言うこととかわりない。 神様は人々に信仰されることによって、その力を発揮すると聞く。 ん? この事は誰に聞いたんだ? 「続きを話していいか?」 突然黙り込んだ私を訝るように見る神奈子さん。 私は慌てて取り繕う。 「あ、はい、どうぞ」 「そうか……」 神奈子さんは気を取り直すように、一度咳払いをした。 「私が幻想郷に移動した方法は、私達の神と、八雲 紫の力を利用してだ。結局、神とは名ばかりで、八雲 紫という大妖怪の協力を得られなければ、私達はこの幻想郷に来ることは叶わなかった。しかし、あなたは別」 「別?」 「ええ……。八雲 紫が外の世界で人間を神隠しにあわせるけど……その理由は知っている?」 「いいえ」 知るはずもない。 私は記憶を失っている以前に、この世界の住人ではない。 「それは、《食べるため》よ」 「………………」
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