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あれ…どこだここ?
気がついたら一人たたずんでいた。あたりを見回すと見慣れたブランコや滑り台などがある。どうやら近所の公園のようだ。
そして俺のすぐ近くのベンチで小学校低学年くらいの見知らぬ少年と少女が話していた。
近づいてみても俺の存在には気づかない。 目の前にいるのに視界には入っていないようだ。
「翔くん、私、大きくなったら絶対にまた帰ってくるから……その時は、お嫁さんにしてくれる?」
「だが断る」
「えぇ!?そこは普通、『約束だよ』って言うところでしょ!?」
「だって、葵は絶対に本気にするし……」
「グスッ、翔くんは私のこと嫌いなんだぁ」
「……はぁ~、葵、手ぇ出せ!」
「ふぇ?」
少年は、ポケットから何かを取り出し、少女に渡した。
「これ……くれるの?」
少年が渡したのは、可愛らしいクローバーの髪飾りのようだ。
その髪飾りを見た少女の表情は、パッと明るくなった。
「か、勘違いすんなよ、これは葵が寂しがらないようにあげるんじゃなくてだな。い、一応、今までの感謝としてだな……」
「ありがとう、嬉しいよ!翔くん」
とびきりの笑顔で少女はそう言い、少年の頬に口をあてた。つまりはほっぺにチューである。
「お、おおお前、な、何してんだよ!!」
「ふふ、翔くん照れてるの?」
「て、照れてねーし」
そんな話をしている二人を眺めていると、年上の綺麗な女の人が近づいてきた。 どうやら少女の母親のようだ。
「葵、そろそろ行くわよ~」
「もう時間か……行かなきゃ」
「葵!!」
「ん、何、翔くん?」
「また……帰ってこいよ!!」
「……うん、またね、翔くん!!」
「はぁ~、またな」
…………。
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