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ただ、一人ぼっちは寂しい。
だから、何となくそのシステムに納得していないながらも、沙織もグループには入る。
去年のクラスでもそうだった。
でも、今年のクラスには去年同じグループの子はいなかった。
だから、クラスが一緒の茉希と一緒にいた。
茉希も同じクラスから上がってきた子に、同じグループの子はいなかった。
ただ、それだけの理由で一緒にいた。
そして、それが今日4人グループとなった。
たぶん、みんなそんな感じで何となくグループに分かれて行くのだ。
ちょっと話が合う、とか、共通点があった、とか。
ただ、それだけのことで一緒に過ごしていく。
友情は、けっきょくグループに分かれてから時間をかけて、思い出を共有してつくっていく。
そのうちグループ以外で気の合う子を見つけて、仲良くなったりもするけど、でもやっばり最初に出来たグループからは、何か理由がない限り離れることはない。
別にいいけど。
そう思いながらも、沙織はいつもこのジョシ独特のグループシステムに納得していなかった。
ただ、あらがう勇気もなく、一人でいる度胸もなく、何となくクラスでやり過ごす。
仲の良い友達がいないわけじゃないけど、グループの子だけを特別扱いするのもヘン。
そう思っていた沙織は、いつも適度な距離感を持って友達と接していた。
人と深く関わることを、あまりしなかった。
「沙織って、一匹オオカミだよね~」
茉希にクラスが変わって割とすぐの頃、言われた言葉だ。
「そんなことないよ」
と、そのときは流したが、内心沙織は焦った。
うまくやらなきゃ。
そう思った。もし、こんなに冷めたところがあるとバレれば、ハブかれるかもしれない。
ジョシってやつは、自分と考え方の違う人間を受け入れはしないのだ。
そこからは必要以上に茉希との会話に同意を繰り返し、トモダチなのだ、というアピールをした。
「トイレ行ってくる」と言われれば、「私も行く!」とついていき、一緒に帰る道で寄り道をして買い物をしたりもした。
それはそれで楽しかったが、沙織はどこか気疲れもしていた。
そんな沙織の考え方は、奈月との出会いで覆された。
奈月とは何もかもが違う。
趣味も、性格も、同じものは一つとしてなかった。
ただ、とにかく気が合った。
同じところで笑う。
とにかく会話のテンポが一緒なのだ。
出会ってすぐに、本当に気兼ねなく話せる友達は生まれて初めてだった。
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