トモダチドウシ

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「さっちって、前のクラスでどんな子だったの?」 ふと、奈月がたまご焼きをほおばりながら、聞いてくる。 「とりあえず、食べながら話すのやめなよ」 冷静に沙織はツッコむ。 「んー、まぁまず“さっち”なんてあだ名はたぶん誰もつけないような子だったね」 ふっと笑いながら茉希は答えた。 「えー!何で?あだ名はかわいい方がいいじゃん!」 もぐもぐしながら奈月は答える。 「なっちゃんは、そんな感じよね」 馨が答えた。ちなみに奈月を“なっちゃん”と呼ぶのは馨だけだ。沙織と茉希は“奈月”と名前で呼んでいた。 「沙織は、何となく冷めてる印象があったかな。1年のときはグループ違ったから、たまに話すだけだったけど。ツッコミとか面白いし、みんなと仲良かったけど、本当に“みんな”と仲良いイメージ」 「あー、何か分かるかも。そういや公香がそんなこと言ってたわ」 茉希の発言に、馨が答えた。 沙織は陸上部に入っていたのだが、公香も同じ陸上部で、馨とは去年のクラスが一緒だったのだ。 「そうなんだ。でもみんなと仲良いのはすごいよね。あたし、仲良くなれる人って選んじゃうから、尊敬しちゃう」 やっとたまご焼きを飲み込んだ奈月が答える。 「そんなことないよ。てか仲良くなれる人選ぶの?」 少し意外に思った沙織が聞き返す。沙織が見る限り、奈月こそ誰とでも仲良くなれそうな気がしていたのだ。 「選ぶよー。気の合わない相手と一緒にいても疲れるだけじゃーん」 「でも、案外うちらとすぐに仲良くなったじゃん。」 「そうだよ、人のこと勝手に“さっち”とか呼ぶし」 馨の発言に、沙織がかぶせるように発言し、一同に笑いが起きた。 「あたしね、仲良くなれそうな子を見つけるレーダーが発達してんの。身体測定で話してる2人見て、一目ぼれしたんだ」 いつものニカっとした笑い方で奈月が答える。 「何だそれ(笑)そんなレーダー発達させる前に、身長のばそっか」 沙織が、答える。身長165cmの沙織に対し、奈月は148cmと本当に小柄だった。 「そうだね。沙織と並んだらカップルに見えるよ」 茉希のその発言に、またみんなで笑った。
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