トモダチドウシ

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その日の放課後、みんなでカラオケに行くこととなった。 沙織と馨はそれぞれ部活に入っていた。沙織は陸上部。馨は吹奏楽部。 茉希と奈月はそれぞれ帰宅部だ。茉希は実家がペットトリマーをやっていて、そこの手伝いをするために。奈月はやりたい部活が特になかったからだそう。 たまたま陸上部も吹奏楽部も今日はない。茉希も親に連絡をして、今日は手伝いを休ませてもらってカラオケに行くことにした。 ジョシは、こうやって徐々に友情をつくりあげていく。 何気ない会話で一緒に笑い、共に放課後を過ごして思い出をつくる。 それぞれ、思い思いにカラオケを楽しみ、気づけば夜7時を回っていた。 「そろそろ、帰ろっか」 茉希がつぶやいた。 「そうだねー」 と、馨も同調する。 「あ、ねぇねぇプリクラ撮って行こうよ!」 ふと思いついたように、奈月は言った。 みんなからの返事を待たず、沙織の腕を取ってずんずんとゲームセンターの方へ足を進めた。 沙織はというと、どうしていいか分からず、ただただ奈月についていくだけだった。 別にプリクラを撮ることが嫌なわけではない。 腕を組んで歩く、という今の状況に驚いていたのだ。 沙織は今までどちらかというと、友達とは距離を置いて付き合って来た。 みんなで仲良くはもちろんするが、いわゆる“親友”というやつは、作ったことがない。 もちろん、誰かと腕を組んで街を歩く、というのは生まれて初めてだ。 思い返せば、親にもあまり甘えてこなかったように思う。 別に、腕を組むことが嫌なわけではないが、何の気なしにしれっとこういった行為が出来る奈月に、沙織はカルチャーショックを受けていたのだ。 ジョシって、何でくっつきたがるんだろ そんなことを思いながら、沙織はいつのまにやら連れられていた、プリクラ機に100円を投入した。 「4人だとお金の計算楽だからいいねー」 にかっと笑い、奈月は言った。 「そうだね。あたし前3人でプリクラ撮って、お金の計算めんどくさいから、無理やり3回も撮ったりしたよ」 笑いながら、馨が答えた。 「そんなに自分の顔写真いらないでしょ」 茉希が冷静にツッコむ間に、奈月の手によって、フレーム選択が終了していた。
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