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沙織、奈月、茉希、馨の4人は、その後も特に何の問題もなく、ずっと“グループ”として仲良く過ごしていた。
5月にあった修学旅行、9月の体育祭と、常に4人でわいわいしていたら、あっという間に終わっていた。
それぞれケータイに貼ったプリクラがはがれかけた頃、奈月がケータイを機種変するというので、またプリクラを撮りに行ったりもした。
4人で過ごした思い出が増えた分だけ、やっぱり4人は大切な存在になっていった。
初めは“グループ”というものに、迷いや悩みを抱えていた沙織も、10月に入り、そんなことはすっかり忘れていた。
特に、今年はいつもよりも時間が早く過ぎていっている気がしていた。
沙織は分かっていた。
間違いなく、奈月のおかげだと。
奈月は、常に沙織の考えていることが読めるのではないかと思った。
沙織がふとキツい一言を言っても、奈月がフォローしてくれる。
少し疲れていて、一人になりたいときは、そっと気を利かせて1人になれるよう、他の2人を連れてどこかへ行ってくれる。
これまで、グループで過ごしながら一人で抱えていた辛い思いを、奈月が負担してくれているように思えた。
これまではジョシの中で囲まれて過ごしているとき、いつも気を張っていた。
いつ嫌われるか分からない。
ミスをしてはいけない。
笑っていても、常に頭はフル回転で、どうにかグループに溶け込めるよう、自分の存在が悪目立ちしないように一生懸命だった。
楽しいことももちろんたくさんあり、すごく無理をしていたというわけではないが、それでも気疲れをすることが多く、何も予定がない休日は一日ぐったりと寝ていることもあった。
ただ、今年は気づけば10月になっている、という気がする。
いつもは、「やっともうすぐ今年が終わる」と思っていたが、今年は、いつ春夏が過ぎて行ったのかも分からない。それくらい、濃い思い出が沙織には残っていた。
沙織の学校は高校2年と3年の間では、クラス替えがない。受験に集中するためだという。
それを沙織はとても嬉しく思った。
「ベストメンバーだ」
沙織は4人でいるとき、心の中でいつもそうつぶやいていた。
おっとりしていて、いわゆるジョシな馨。
言いたいことははっきり言うが、嫌みのない元気っ子茉希
そして、何も考えていないように見えるのに、何故か沙織の気持ちを汲んでくれる奈月。
それに、こんなに色々なことを難しく考えてしまう沙織。
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