シンユウドウシ

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これまで、小学校から毎年いろいろな“グループ”に属してきていた。 クラス替えがある度に、気の合う仲間を探して、適当な人数でくっついて。気をすり減らしながら、1年を過ごして。 また、春になればグループづくりの繰り返し。 年を重ねるごとにトモダチは増えていったけど、いまだに頻繁に連絡を取るトモダチはあまりいない。 久々に会えば話も弾むが、自分から連絡を取ろうとはしてこなかった。 だからこそ沙織は「一匹狼」などと言われるのだろう。 それでいいと思ってた。 それがいいと思ってた。 でも、この4人に会えて沙織の考えが少し変わった。 来年もクラス替えがないことをとても嬉しく思う。ずっとこの4人で過ごせたらいいのに、と思うのだ。 沙織にとって、それは初めての気持ちだった。 ジョシも悪くない。 沙織はそう思い始めていた。 あるとき、奈月から「2人で遊びに行かないか」と誘われた。 4人で過ごしてても、やっぱり奈月とはとても気が合い、何となく、「沙織・奈月」「茉希・馨」というような分かれ方で歩くことも多かった。 沙織も奈月と話しているときが、いつも一番楽だった。 ただ、遊ぶ時は4人で。 これはウチのグループの暗黙のルールだった。 別に、沙織としては茉希と馨が遊ぼうが、奈月が他の2人と遊ぼうが気にはしなかったが、何となく遊ぶのは4人のスケジュールが合ったときにしていた。誰かのスケジュールが合わなければ、日程を再調整して遊ぶようにしていた。 4人がそろうこと、が“グループ”として存在していく上での最低限のマナーだと思っていたのだ。 そんな中、奈月がふいに沙織にメールをしてきた。 『今度のにちよーび、暇!?よかったら2人で遊びいこーよー』 突然のお誘いに、沙織はびっくりした。 『茉希と馨は忙しいの?』 沙織はこう返信した。1分とかからずに返信が返ってくる。 『いんや、聞いてない(笑)別に2人で遊んでもよくない!?てか電話してもへーき?』 奈月は空気が読める。 そんな子がわざわざ2人で、と指定してくるのにはそれなりの理由があるのだろう、と思った。 沙織はメールを返信せず、そのまま奈月に電話をした。
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