シンユウドウシ

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「んー、4人で行ってもいいんだけどさ。何か恥ずかしいじゃん、こういうの。あんま人に言いたくなかったんだよね。しかもぞろぞろ人連れて文化祭行くのも何か違うかなーって。雑誌にも“2人が一番声をかけられやすい”って書いてあったの!」 なんじゃそりゃ。思わず沙織がツッコむ。 「好きな人探しに行くんじゃなくて、ナンパされに行くんかい!(笑)でもそういうことなら、茉希とかのが合ってるんじゃない?あの子、確か前合コンとかも顔出してたよね?」 高校生にもなると、いくら女子校とはいえ色々な子がいる。彼氏をとっかえひっかえしているような“遊び人”タイプの子もいれば、男の先生すら苦手だという純正培養のお嬢様まで。 茉希はどちらかと言えば、男慣れしている方だと思う。確か、彼氏がいたこともあるはずだ。夏に別れたと言っていた気もする。そして最近は「彼氏が欲しい!」がもはや口癖のようになっていた。 「いや、ナンパされに行くんじゃないんだって!好きな人探しに行くの!でも、さ、すげー自分だけのくだらないプライドなんだけど、こういうのあんま人に言いたくないんだよね。文化祭行ったって、会えるかも分からないし、会えても声かける勇気もないかもしれないし、声かけたところでうまく行くかもわかんないし…」 奈月はいつも何も考えていないような感じなのに、こんなに色々と悩んでいることが意外だった。そしてかわいらしくも思った。 恋ってやつは、ジョシを女子に、しちゃうんだな ふと、沙織はそう思ったのだ。 ジョシってやつは、性別がどうっていうよりも、性質としての存在だと思う。 徒党を組んで、そのグループだけえこひいきしたり、トモダチと常に一緒じゃないと嫌だったり、ちょっとでも違う部分があるとハブいたり…。ジョシ社会を生き抜くために頭を使っている政治家みたいな気がする。 でも、女子ってやつは、もっと弱くて、だけど強くて。守ってあげたいような、守ってくれるような、何だか性別としての“女”をすごく感じさせてくれる存在だと思う。 ジョシ同士で過ごしているときとは違って、男子が混じったときにはジョシはやはり、女子になるのだ。
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