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そしてそんな部分を同性に見せるのは、あまり好ましいことではない。
自分のすごくプライベートな、恥ずかしい部分を見せている気がする。
その気持ちは沙織にも何となく分かる。
それを、奈月が沙織を選んで話してくれたことが、とても嬉しかった。
「いいよ」
沙織は奈月に電話でそう伝えた。
「行こうよ、文化祭。私あんま力になれないだろうけど、私で良ければお付き合いしますよ」
「やったー!沙織来てくれたら、すげー嬉しい!んじゃ日曜日12時に駅で!」
奈月は電話でも分かるくらいの飛び跳ねた声で答え、電話を切った。
沙織は、何だかすごく嬉しい気持ちに包まれながら、眠りについた。
そして日曜日がやってきた。
沙織が待ち合わせの12時ちょうどに駅についた頃、奈月からメールが届いた。
『ごめーん。メイクやり直してたら、ちょっと出るの遅れた!あと5分で着きます!!』
どうせなら、もう少し早めにメールをくれてもいいのに。
そんなことを思いつつ、沙織は改札口に立ち、周りを見渡した。
気づけばちらほらと、きっと私たちと同じ場所に向かうのだろうな、という女の子たちがたくさんいた。
みんないつもとは違う、浮足だった雰囲気を醸し出している。
制服も普段とは違い、リボンがちょっとおしゃれになっていたり、靴下が学校指定のものじゃなくて、ルーズソックスになっていたり。
制服で来てね、と奈月に言われていたこともあり、沙織も制服で来てはいたが、何か今日のために特別なことはしていなかった。
普段学校ではすっぴんで過ごしているが、多少メイクをしているくらいだ。
ただ、それはジョシ同士で遊びに行くときもしていることなので、特に今日を意識して、ということではない。
奈月に申し訳なかったかな。
少し、沙織は反省する。
一緒に連れて歩くジョシとしては、やはりかわいい子の方が良いだろう。
周りの子たちを見て、普段と何も変わらない様子の自分に沙織は少し自信をなくしてしまった。
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