トモダチドウシ

4/9
前へ
/30ページ
次へ
お互いの話していることが、お互いちんぷんかんぷんだった。 お互い、自分の自己紹介をしては 「全然わかんなーい」 とケタケタ笑っていた。 一緒に話していたはずの馨はおいてけぼりを食らっていた。 身体測定も終わり、列もバラバラに教室へ帰るまでに、茉希も合流した。 「あー、茉希!こちら、さっき仲良くなった、えーと…山…本奈月さん!」 「違うよ!山口奈月です!あんな盛り上がって、まだ名前間違えるってどういうこと!?」 「あはは。ごめんごめん!色々話しすぎて名前忘れた(笑)」 「よろしくね。山口さん。沙織がこんな爆笑してんの珍しいね」 「えーそうなの?さっきから笑いっぱなしだから、こんな子なんだと思ってたよ」 馨がそう答えた。 「あたしもそう思ってたー」 元気に奈月も同調する。 4人グループが出来るのは、あっという間だった。 次の日からお弁当は4人で食べた。 40人のジョシが、同じクラスにいた。 なぜ、ジョシってグループに分かれたがるんだろう。 同じグループの、○○ちゃん。 こんな紹介を大人になっても割とよく聞く。 周りの男子を見ても、何となくいつも一緒につるんでいるメンツは決まっていても、そこに明確なグループ分けはないように思えた。 でも、ジョシは別。 同じグループの子は、他のグループの子よりも大切にしなくちゃいけない。 暗黙のルールがそこには存在するように思えた。 そして、たいていそのグループ作りはクラス替え後の1ヶ月くらいをかけて行われる。 そこで気の合わない人たちと一緒になってしまったとしても、グループを移動することは、何となく難しい。 さらに、ジョシのグループには目に見えないヒエラルキーが存在しているように思う。 トップに君臨するのが、いわゆるギャル系。 そこから、派手な順に並び、下に見られるのが、いわゆるオタク系ジョシ。 例えば、グループ内でハブられたとしたら、ヒエラルキーを一つくだり、下のグループに入る。 別にギャルが偉いわけでも、オタクがダメなわけでもないのに、なぜか存在するヒエラルキー。 きっと、この感覚はジョシにしか分からない。 沙織はよくそんなことを考えていた。 そして、そんなジョシ独特のグループ分けを馬鹿らしく思っていた。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加