プロローグ

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「ーーー大丈夫か?」 「!」 私のすぐ隣にいた男の人が私に声をかける。 同い年?漆黒の髪が揺れた。 「結構長い時間寝てたな」 「…あなたは?」 「人に名を訪ねるときは自分から、だろ?」 苦笑を浮かべた彼は、そう言いつつも言葉を並べる。 「千林 翔。以後よろしく」 にこ。 そんな効果音がつきそうな笑顔を浮かべた彼。 ついでに差し伸ばされた手を握り返す。 「私は大宮 凛。 藍川高校一年の生徒」 「あ、マジで? 俺藍川高校の二年。 あ、先輩とかそんな観念持たなくていいから。 普通に翔ってよんでくれ、凛」 …いきなりの呼び捨ては戸惑うんだけどね。 思いつつ、私は了解の意味で笑みを溢した。 「…翔、此処は?」 「いにゃ、俺にも分からねえ…。 つか、なんで生きてるかも分からねえし」 「え?」 翔が溢した意味深な言葉。 目線は宙を泳いでいた。 …たしかに、私もなんで生きてるか分からない。 トラックに跳ねられたはず、なのに…。 「…しかし暇だな。 幸い電波は繋がってるし、戦コレでもやるか」 「え?」 戦コレ。 モバゲーで人気の武将ゲーム。 まさかこんなところにやってる人がいるなんて。 「知らねえ?戦コレ」 「いや寧ろ知りまくってる、私低課金者」 「マジか。俺中課金者だわ。因みに炎」 「私水」 炎とか水とかいうのは戦コレの属性。 同じ属性だと強いとかなんとか。 …明智と森が水で、織田が炎なことにキレたのは内緒。 「…、って、いつもと画面がちがーーー」 「お待たせしました皆様」 灰色の空間に、声が響いた。
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