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『あの……。』
ハッとこっちを見て、真剣な眼差しで
看護士は言った。
『声っ!!出たね…!?』
あ……そういえば……。
『はい。あの……教えてください。
私、事故か何かですか!?』
目を丸くして私をしばらく見つめたあと、
『その説明は先生からしてもらうね』
と言って出て行った。
すぐに、昨日見た医師が入ってきた。
『おはよう。担当医の谷山です。
身体でどこか異変は感じられますか?』
『……いいえ。』
『声、出ましたね。回復も早いですよ。』
笑うと目尻に小じわのできる彼に、
安心感を覚えた。
『あなたのお名前、言えますか?』
昨日と同じ質問をぶつけてきた。
『……冴嶋(サエジマ)、多希です。』
『ご家族のお名前も言えますか?』
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