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◇ ◇ ◇
隆弘の最終組はすでにスタートしていた。
わたしは急いで、隆弘の姿を追った。
わたしの愛しい人…隆弘…。
スコアボードに『皆本隆弘』の文字を見つけた。
名前を見ただけで涙が溢れそうになる。
その姿を見ればたちまち切なくなる…。
苦しいよ…。胸が苦しすぎるよ…。
優勝争いを繰り広げているのは合計3人。
誰もが譲らず一進一退の攻防を繰り広げていた。
隆弘がバーディーで上がれば、同組の選手も皆、バーディーでホールアウト。
だから首位に1打差の2位タイでスタートした隆弘はなかなか差が縮まらず1位になれない。
PAR5の8番ホール隆弘がイーグルでホールアウト。
同じく2位タイの選手はパーでホールアウト。
これで隆弘が単独2位。
2位タイの選手は3位に後退。
1位の選手は8番ホールをバーディーでホールアウトした。
これで隆弘との差はなくなった。
『皆本隆弘』の名前がフルリーダーボードの1番上に躍り出る。
『皆本隆弘』1位タイ。トーナメントリーダー。
前半9番ホールを終えた時点で1位タイ。
スコアはトータル「-13」
勝負は後半戦へと持ち越された。
気持ちが切れないように…とわたしは隆弘の健闘を祈る。
心の中で何度も…。
10番ホールから後半戦がスタートした。
隆弘はドライバーが得意でものすごく飛ぶ。
ギャラリーも隆弘のドライバーでのティーショットに熱い視線を送っていた。
隆弘がティーショットをすると「すげーな」なんて声が飛び交う。
後半戦も両者譲らず一進一退の攻防。
トータル「-15」で18番ホールを迎えた。
PAR5。
ドライバーの飛距離で勝る隆弘が有利と思われたが最初のティーショットを右に曲げてしまう。
ティーショットを終えた隆弘が「やっちまった」とわたしに目配せした気がした。
一瞬目が合う…。
「優勝すればいいじゃん!」わたしは小声で呟く。
その声が聞こえたのかどうかわからないが…
隆弘は「うん」というように首を縦に振り頷いた気がした。
隆弘…もしかして…? わたしの存在に気づいてるの?
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