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《誰だ。私の家の前で騒いでいる奴は》
地響きと共に、頭の遥か上から声が聞こえる
『……大きい』
年を経たのか、普段目にするよりも数倍大きなドラゴンが裂け目から顔を出した
同時に夜が明ける。朝日を受けたドラゴンは白銀と金が混じったウロコを輝かせた
「綺麗……」
ウェンズディがその輝きに引寄せられるように、ドラゴンにフラフラと近づいて行く
『ちょ!ヤバいよ!』
《人の子か。人間に会うのは久しぶりだな。だが、私に近づかぬ方が良い。私の体内はマグマで出来ている。いつ私の吐く息でその身を焼き尽くしてしまうかしれんぞ》
背中に毛を逆立てたままのロロを引っ付けながら、ウェンズディははっと立ち止まった
「近づくなって言われても……。私は冬至祭の材料にあなたの涙を頂きに来たのよ」
《私を泣かせるつもりか?面白い事を言うな》
透き通るような青い目を細めて、ドラゴンは笑う。鼻からもれる息も燃えるような熱風を伴っている
「あっつ!正面に立っていたら、ホントに焼け死んじゃうわね!」
『もう帰ろうよ。ウェンズディは頑張ったって!ドラゴンに悪気は無いかもしれないけど、このままじゃアクビの一息すら受けらんないよ!』
ウェンズディは動かない
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