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夜の闇に紛れて目の前の獲物を狙う。
気づかれない様、極力足音をたてず十分な距離をあけて後をついて行く。
獲物は夜に似つかわしくない、今時の派手な格好をしていて、少しばかり離れたぐらいでは見失いそうにはない。
遠目から見ているかぎり20代前半の女子大生あたりだろう。
タクシーから降りてきた事と、少し足元がふらついている事も考えて、飲んできた帰りだとも予想はつく。
獲物が人気の少ない道に入った頃、周りを十分に確認し、耳をすまし、人がいない事を再確認する。
住宅街と木々に囲まれたこの道にいるのは獲物と自分だけ。
そう思うと自然に胸が高鳴り、冷や汗が垂れ、とてつもない興奮に襲われる。
いまだ、そう思った瞬間に足が動く。
足音をたてない様徐々にスピードをあげていく。
獲物の背後についた瞬間、口を手で抑え声がでないようにし、静かにしろとありきたりな事を囁き、鞄を捕って足早に逃げる。
獲物が叫んでいるのが気になったが、自宅付近の比較的誰もいないところで鞄の中身を調べる。
携帯を発見し、GPSで追跡されないために端末のカードを折り、電源を落とした。
そして人に見つからないように周りに注意し足早に自宅戻ってきたのだった。
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