~エモーショナルな彼女~

23/25
前へ
/25ページ
次へ
俺の身体の下、 ヘッドボードの薄明かりに浮かび上がった天使は、ほんのりとまだ桜色に頬を染め、 本当に穏やかな、甘ったるい表情のまま、心地よさそうに寝息を立てていた。 その優しい寝顔を見つめてるうち、悔恨の情は少しずつ息を潜めていき。 やれやれ。 と俺は苦笑し、ほんのり湊の目尻に滲んだ涙を拭取って。 そしてそっと身体を離した。 瞬く間に終息していく劣情。 入れ替わりに押し寄せてくる、切なさにも似た幸福感。 そう。かつて一度も味わったことのない、その感情。 今はそれを一人堪能しよう、と観念した。 込み上げる笑みを押し殺しながら、そっと湊を抱きしめた。 何か 分かった気がするな。 何でこんなに、溺れてんのかって。 .
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4535人が本棚に入れています
本棚に追加