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俺の身体の下、
ヘッドボードの薄明かりに浮かび上がった天使は、ほんのりとまだ桜色に頬を染め、
本当に穏やかな、甘ったるい表情のまま、心地よさそうに寝息を立てていた。
その優しい寝顔を見つめてるうち、悔恨の情は少しずつ息を潜めていき。
やれやれ。
と俺は苦笑し、ほんのり湊の目尻に滲んだ涙を拭取って。
そしてそっと身体を離した。
瞬く間に終息していく劣情。
入れ替わりに押し寄せてくる、切なさにも似た幸福感。
そう。かつて一度も味わったことのない、その感情。
今はそれを一人堪能しよう、と観念した。
込み上げる笑みを押し殺しながら、そっと湊を抱きしめた。
何か
分かった気がするな。
何でこんなに、溺れてんのかって。
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