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「オレはよぉ、2人に幸せになってほしかったよ」
優真は握り拳を作り、それに額を乗せて涙声で言った
「翔と里奈ちゃんは順調だったんだろ?………なんでだよ、………なんであの2人だったんだよ!!!!クソッ!!クソォォ!!!」
フェンスをガンガン叩きながら叫ぶ優真
その気持ちは痛い程伝わる
2人の関係を間近で見てきたジンは尚更だ
去年の夏休み前から付き合い出したのか、翔と里奈はよくこの公園にいた
部活終わりはよくこの公園でジンだけ帰らされたものだ
本人達は恥ずかしいのか、否定しまくっていたが周りから見ればお似合いカップルだった
ジンも自分の事の如く2人の関係を喜んでいた
しかしそれが去年、この公園で首を切られた2人が発見されたのだ
その日は珍しく翔と里奈は早く帰るといい、先に帰ってしまった
何事かは分からないが、多分デートだろうと思い込んでいたジンは1人でのんびりと帰り道を歩いていた
角を曲がり公園が視界に入った時、ジンは身体中から気持ち悪い汗が噴き出る様な感覚に見舞われた
いつもの様にベンチに座る2人
しかしその後ろに男がいる
ただの男ならいいが、ジンは男が手に持っている物にただならぬ恐怖と危険を感じた
日本刀だったのだ
ジンは無我夢中で走り出し、やめろやめろと力の限り叫ぶ
ジンの声に先に気付いたのは翔達であった
こちらを見てにこやかに笑っているが、後ろの男には気付いていないのか?
その後ろでは既に居合いの構えをしている男の姿が
間に合え間に合えと心の中で叫び、逃げろ逃げろと大声で叫ぶ
横一閃
気が付けばジンの目の前で2人の首が飛んだ
そう、2人の遺体の第一発見者はジン
誰よりも2人を祝っていたジンだったのだ
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