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「はぁ、なんでだよ」
ジンはランニングシューズを履きながら先程の誠一の言葉を思い返していた
言うなれば、シングルに専念しろ、そういう事だ
「んな心配しなくていいのによぉ~」
若干のスキップをしながら体育館を出たジン
ふと時計を見ると時刻は7時半を回っていた
いくら夏休みといえど9月が近づくこの頃ではもう日の入りが早まってきている
校門を出て、部活仲間とは1人帰り道が違うジンは茜色に染まる空を眺めながら深いオレンジ色に照らされた坂道を下っていた
去年までは3人で帰っていた道だ
それが今では1人で帰るのが当たり前になっていた
いつからだろうか……
一歩歩く度に…
一歩足を前に動かす度に…
溢れそうになっていた涙が止まってしまったのは…
いつからだろうか?
去年は綺麗だと感じていたこの景色…
それが血の色で染められた様にしか見れなくなったのは…
本当に、いつからだろうか…
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